–トルコ、イスタンブール
「ブルーモスク」の通り名のほうが有名な、スルタンアフメット・ジャミィでぼーっとサンドイッチを食べていると、一人の少年が話しかけてきた。
「このモスクの名前知ってる?」
「スルタンアフメット?」
「正解。みんなブルーモスクって言うんだよね。正解した人は初めてだよ」
「そうなんだ?」
「うん。よかったら案内するよ。中に入ろう!」
彼の名前はラマザンと言って、ギョレメ出身で今はイスタンブールの学校に通っているらしい。「英語の勉強中なんだ。それにはツーリストと話すのが一番だと思って」と言う。確かに。
「ブルーモスクの名前の由来は知ってる?」
「いや。そういえば別に青くないよな」
「中がね。内装が青色なんだ。ちなみに中庭は赤い色。対になってるんだよ」
いろいろ日本の話をしたり、ギョレメに残してきた彼女の話を聞いたりしながらマルマラ海に向かって歩く。「数年後には僕も兵役に就いて、イラン国境の方へ行かなくちゃならない。今のうちにしっかり勉強しておかなきゃ」
彼は16歳だという。兵役のある国に育つというのはどんな気分なんだろう。僕にはわからない。
マルマラ海をゆく船を眺めていると、なぜだか広島の宇品港を思い出した。イスタンブールがなんだか好きなのは、広島とどこかしら似ているからだろうか?
写真は僕のメガネを奪ったラマザンとその弟?ラマザン(小)。
名前が一緒ってややこしいな。
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