–インド、レー
どうしてもティクセ・ゴンパだけは見ておきたかったのでバスで向かう。ゴンパというのはチベット仏教における僧院のことで、数多くのラマ僧が修行を行う場所だ。ティクセ・ゴンパはもともと砦のあった場所に建てられたものらしく、岩山に寄り添うように立ち並ぶ建物群が壮大だ。
感動してしばらくの間、下から見上げる(息切れしてしんどかったのもある)
ゴンパからは時折風の音のような、角笛のような音が響いてくる。祈りの一環なのか、何かの合図なのかは杳として知れない。そして鉦の音が。これは後で、階段の途中にある大きなマニ車を回すときに発生する音なのだということがわかった。
屋上まで登りきると、360度のパノラマだ。やはり月か火星にいるかのようだ。まったくこんなところにも人は住むのだ。完全に非日常的でしばらく茫然と立ち尽くす。
空が近い───。
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