レーへ

レーへ

–インド、レー

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 この旅行に出かける前から、レーはどうしても行きたい場所のひとつだった。とあるブログでレーの写真を見て、その抜けるような、というよりも青黒いとすら表現できる青空に魅せられてしまったのだ。
 そういう訳で、「いよいよだぞ」という浮き立つ気分とともにジープタクシーに乗り込んだ。ヴァシシトからの出発時刻は午前2時30分。到着は午後11時とのことだ。ほぼ一日がかりである。こりゃ疲れそうだな、とその時はそう思うだけだったが、移動するにしたがって僕の体調には予想以上の異変が起こり始めた。
 高山病である。
 レーに至るまでに5000m級の峠を3つ程越えることになるのだが、2つ目の峠に差し掛かった頃、僕の体は明らかに自由を失っていた。まさか自分は高山病になんかならないだろう、と根拠のない自信があったのだが、身体の異常は明らかに強力になっていく。次第に頭痛が始まり、3度目のパスポートコントロールのためにジープを降りたときには既にまっすぐ歩くことさえできない。まるで千鳥足だ。何度もすっ転びながら辛うじてパスポートチェックを済ませジープに戻っても、体中の震えが止まらない。ガタガタする足を押さえつけながら、同行者に「もしかしたらレーに着くまでにダウンしてしまうかもしれない、その時はごめんけど宜しくね」とお願いして眠りに落ちた。後で聞いたところによると僕はそのまま気を失ってしまったようだ。