–オランダ、アムステルダム
アムステルダム。
この地名の醸し出すなんともいえない混沌具合とは裏腹に、地図の上では整然とした運河が街を区分けしている。しかしそれなら歩きやすいかというとそうでもなく、個人的には今までで一番迷った街だった。
理由としては、整然としてはいるが同心円状の運河に沿って歩くと方向感覚がすぐに狂うことに加えて、密集して立ち並ぶ建物の階数は平均して高く、ランドマーク的な建物が見えない。そして小路が多すぎることも原因の一つだと思う。
僕の目指すユースホステルは最寄のバス停までしか分かっておらず、そこからは通りの名前を頼りに探すしかないが、小さい通りのようで地図にない。道行く人に尋ねるも、向こうだと言われたりこっちだと言われたり。ようやく発見したときには日はほとんど暮れていた。
次第に光を失う空に代わって、街灯りを映した運河が次第に輝き始める。街を彩る。