–トルコ、ギョレメ
いわゆるカッパドキアだ。
カッパドキアという都市があるわけではなく、この辺り一体の大地を指すらしい。旅行者の多くが基点とするのは、ギョレメと呼ばれる村だ。
そこら中にニョキニョキ生えた岩に穴が開けられて、家になっている。すごい。僕らの泊まったホテルも、岩に穿たれた洞窟が部屋になっている。中はひんやりしていて、涼しい。
ギョレメ村は、その周りを幾つもの「○○バレー」というような名前の渓谷に囲まれていて、それぞれが特徴的な景観を持っている。例えば「ピジョン・バレー」はウチヒサルという村に至る渓谷で、ウチヒサルの岩山に沢山の”鳩の巣”と呼ばれる穴が開いていることを由来としている。
さて、「ラブ・バレー」というのを歩いてみた所、何がラブなんだかよくわからない。延々と奇岩の並ぶ渓谷を歩く。洞窟あり、途中で道を見失うハプニングありで結構疲れる。奇岩も延々見ていると、奇景でもなんでもなくなって来るものだ。やっぱりラブが謎。
村に帰り、聞いてみた。
「ホワイト・バレーやローズ・バレーは岩の色が名前になっているし、ピジョン・バレーは鳩の家がたくさんあるからってのは分かった。ラブ・バレーの由来だけが分からない」
ツーリストインフォメーションの人は、
「ラブ・バレーの由来?…うーん…」
「わからない?」
「…いや、由来はこうだ。一人の男と一人の女がラブ・バレーに行く。そしてキスをする。すると幸せになれる。だからラブ・バレーだ」
絶対その話いま創っただろ、と思った。