カテゴリーアーカイブ 旅のこと

西方砂漠へ─白砂漠

–エジプト、バハレイヤ

F1000013.JPG

 行く手に砂丘が現れ始め、ようやく「砂漠」といった風情になってくると同時に、白い石灰岩もちらほらと見え始める。白砂漠と呼ばれる奇景地帯の始まりだ。
 青い空と黄色い砂の間に立ち並ぶ、数え切れない程の白い自然の彫刻。神秘的で非現実的な風景だ。そのうちの一つを日よけにして、キャンプの準備が始まった。
 夜、夥しい星の海を天井に眠る。

西方砂漠へ─エル・ヘイズ

–エジプト、バハレイヤ

PICT1978.JPG

 黒砂漠を抜けると、次第に緑が現れ始めた。この辺りには鉱泉の湧く村があるのだ。泉と言っても、黄色い砂丘の中、椰子の木に囲まれた湖のようなフォトジェニックな感じではなく、石造りのプールのようだ。ポンプでくみ上げられた水は白濁していて、冷たい。村の住民たちはみんな気持ちよさそうに遊んでいる。気が付くと僕らのジープのドライバー、マンドゥイもいつの間にやら服を脱いで浸かっている。「どうした。入らないのか?」そりゃ入るとも。トランクス一丁で飛び込む。クソ暑い砂漠の真中、とても気持がいい。
 いつの間にかパイプからの水は止まっていて、水もなんだか濁ってきたな…と思っていると、ポンプのエンジンが始動する音がして、パイプを水が伝わってくる音が響き始めた。高まる期待感。そして一気に冷水が噴き出すと、再び子供たちがそれぞれに叫びながら飛び込み始めた。

西方砂漠へ─黒砂漠

–エジプト、バハレイヤ

PICT1977.JPG

 カイロから南西に約450km、バハレイヤオアシスとファラフラオアシスの間に、黒砂漠、白砂漠という奇景が広がっている。
 僕たちを乗せたジープはさしあたって黒砂漠へと向かう。バハレイヤオアシスの中心的な町、バウーティの周りは既に一面砂漠地帯なのだけど、次第に地面が砂鉄でもばら撒いたように黒ずんでくる。どうやらこの黒いものは玄武岩の砕けたものらしく、辺りの地面、特に山は著しくその黒い瓦礫に覆われている。とりあえず登ってみた。360°何も無い。世界の終わりのような景色に、一本道が南北に伸びているだけだ。

忘れものを取りに

–エジプト、カイロ

PICT1935.JPG

 ピラミッドとは5年振りの再会になる。
 相変わらず馬鹿でかく、悠然と僕を迎えてくれる。今回僕には一つの使命がある。「ピラミッドの中に入る」…以前来た時、ツアーの都合でピラミッドの中には入れなかったことを思い出す。そう、これは5年越しの悲願なのだ。
 中はすえた臭いがして、しばらく歩くとすぐに上り坂が始まる。大回廊だ。まあ、なんの洒落っ気もない無骨な通路なのだけど大感激する僕。こっこれが大回廊!無駄に上昇するボルテージ。そして棺の間はさらに素っ気ない。そもそも棺ではない、という説すらある花崗岩の中空のハコだけど、眺めながらなんとなく、やっぱりこれは棺だったんじゃないかな…と思った。根拠は無い。
 一緒に行った韓国人のヨンヒは「これで100ポンドは高すぎ!」と言って怒っていたけど、僕は大満足だった。あー、なんつーか、ノドにささった魚の骨が取れた気分!
 写真はエジプトに来たら日に焼けて太った僕。嘘です。

次へゆく

–エジプト、ダハブ

DSC01917.JPG

 ダイビング講習も終わり、晴れてアドバンスダイバーとなった夜、インストラクターのたこさんの家で祝賀会。食べる飲む騒ぐ。ふと思うとこういうのはすごく久しぶりな気がする。中東ではおおっぴらに酒が飲めなかったこともあるし、それ以前から考えても数ヶ月ぶりだ。
 次の日からはそれまでの規則正しい生活とは打って変わって何もなくなった。ダラダラするのみ。
 そのギャップは、なんとなく僕の頭を「次の目的地」へと向かわせてしまったようだ。皆はまだまだ滞在するという。でも良く考えたら僕にはあと2ヶ月。いつの間にか残り時間は「~もある」から「~しかない」に変わってしまっていた。そして、この先はまだまだ長いのだ…
 僕は翌日、カイロに向かって出発することにした。
 ゆるい空気、猫と海の町、ダハブ。講習卒業記念にもらった左腕のミサンガが切れる頃、また戻ってこよう。
 出来るならば。

スクーバ・スクーバ

–エジプト、ダハブ

IMG_4961.JPG

 海、深い青。水中で呼吸できるというのは考えていたよりも不思議な感覚だ。鮮やかな色の魚や、奇妙にでっかい奴。「スイミー」を思い出させる、まるで一つの生き物のような小魚の群れ。膨大な珊瑚の森や海底にできた洞窟、途方もない深さの縦穴…見渡す限り青い。
 そこには綺麗で奇妙で不思議な光景が広がっていた。正直、海の中にさして興味はなかったが、完全に考えを改めされられることになった。海の中スゲー。

珊瑚と海風

–エジプト、ダハブ

PICT1031.JPG

 旅行に出てから4ヶ月にして、初めてリゾート地へ。これまでいくつもの国を通り、多くの宿の情報ノートに「ダハブへ行くべし!」と書いてあったその意味が分かったような気がする。
 エジプトのシナイ半島東側、アカバ湾に面する町ダハブ。海は青く澄み、少し泳ぐだけで美しい熱帯魚や珊瑚を見る事が出来る。海の向こうにはサウジアラビアが見える。
 昼前に起きて海岸のカフェでだらだら本読んだり、バックギャモンしたり、気が向いたら泳いだり。夕暮れに赤く染まるサウジアラビアを眺めつつビールを飲む。これだ!これこそ僕の待ち望んでいた夏だ!
 ダハブはもう一つのリゾート地、シャルム・エル・シェイクに比べると安上がりだけど、多くのダイビングポイントをもっている。ダイビングライセンスを取ろうとかいう気は全然なかったんだけど(Tomo・Ticca夫妻に会うまでは)、せっかくの紅海。せっかくのダハブ。という訳で講習開始!

リッチ&スロー

–ヨルダン、アカバ

PICT1007.JPG

 アカバ港。ここからフェリーに乗って、エジプトに入国する。
 ここからエジプト、ヌエバ港に向かうフェリーにはスピードボートとスローボートの2種類があり、値段も10ドル程違う。しかしスローボートはかなりの時間待たされた上、ヌエバに着くのは夜になってしまうため僕はスピードボートのチケットを購入。
 紅海の海は青く美しい。チケットを買って乗船した僕はデッキで飽きずに海を眺めていた。しかし何か変だ。出航時間を過ぎても全然動き出す気配がない。これくらいの遅れは普通なのだろうか?と、そこへパルミラ以降良く出会うドレッド青年、タクミ君が現れた。
 「同じ船だったんですねー」
 あれ?タクミ君は今朝僕より早くペトラを出たはずだ。てっきり一つ前のスピードボートに乗り込んだと思っていたのに。同じ船ってことは意外にペトラから時間がかかったのかな?
 「え?なに言ってんですか、これスローボートですよ」
 …どうやら僕は高い金を払ってわざわざ遅い船に乗り込んでしまったらしい。さよなら10ドル。

幻の都ペトラ

–ヨルダン、ぺトラ

F1060033.JPG

 インディー・ジョーンズのテーマを口ずさみながらペトラ遺跡へ。ちゃんと前日、宿「Valentine Inn」で「最後の聖戦」を観て予習はバッチリだ。今回もベドウィンの正装(コスプレ)をして向かう。
 ワディ・ムーサという名の渓谷内にあるペトラ遺跡は「幻の都」と呼ばれていたそうだ。なにしろ外からはまったく見えず、四方を岩山に囲まれているのだ。
 細い岩の隙間を1.5キロほど進むと、突然、映画にも出てきたイル・ハズネが姿を現すドラマチックな造り。この中に聖杯が…!と中を覗くと、何もなかった。そりゃそうだ。
 次いで磨岩神殿、洞窟住居などの都市跡が広がる。カッパドキアを思い出すな…

浮き浮き死海行

–ヨルダン、アンマン

PICT0979.JPG

 さっさとダマスカスを移動して、ヨルダンの首都アンマンへ。
 アンマンからセルビスで2時間ほどで死海へ行ける。死海といえば浮く。ほんとにプカプカ浮くのかどうか、こいつは確かめずにはいられねぇー。
 ヨルダンとイスラエルの国境に横たわる死海の標高は、マイナス394m。地球上の陸地でもっとも低いところだ。最も低いところに流れ込んだ海水は逃げ場をなくして蒸発する。でも塩は残る。そうして塩分濃度が高くなり、浮力が強くなるというわけだ。この高すぎる塩分濃度のせいで魚は生息できない。これが死海の名の由来だ。死海に近づくにつれて、カラカラに乾燥していた空気が重く、湿気を含んできた。蒸し暑い。
 タクシードライバーの遅刻(2時間)によって、日没直後に死海に到着。早速浮いてみる。
 おお!すごい!まったく沈まない。つか沈めない。海中で体操座りとかできる(すぐひっくり返るけど)。
 足の届かない深さのところまで行って直立してみると、立ち泳ぎなんかしなくても浮いている。すごく不思議な気分だ。周りのみんなは泥を塗りたくってパックしていた。これもびっくりするくらい肌がつるつるになったらしい。
 思わず口に入ってきた海水はしょっぱいというより、苦くてしょうがなかった。
 死の丘、死の海、あとはアメリカのデス・バレーに行けばデス系3大名所達成だ。行かないけど。
 対岸にイスラエルの明かりが見える。