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ルーブルに斃れる

–パリ、フランス

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 ヨーロッパにやって来るまで、美術館や博物館、遺跡ですら、隅々まで歩き回らないと気がすまなかった。一点すら見逃すのが惜しいという小市民的思考の産物なのだが、ヨーロッパに入るとそうはいかなくなってきた。なぜなら広すぎるのだ。美術館が。
 そして、ここパリにあるルーブル美術館は世界最大級の規模を誇っている。目玉はモナリザ、ミロのヴィーナス、サモトラケのニケ像など。
 おいしいものはなんとなく後回しな僕はだだっ広いルーブルの中をエジプトのミイラだとか、ハムラビ法典、変なポーズの像を求めてうろつき回り、それでもなんとかエリアを全て見て回ろうかとローラー作戦を開始したのだけど、
 ムリ。正直疲れた。
 2日入場券とか売ってある理由を理解した。
 疲れ切った末に見た名画たち。
 モナリザは「思ったより小さい絵だな」としか感じず、ミロのヴィーナス、ニケ像に至っては「おお……これか…」。
 ぜえぜえ。
 教訓。名画を見る時には体調を万全にしておくこと。

エッフェル塔から

–フランス、パリ

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 夜更けにベルンに到着し、今日は駅舎で夜明かしか…と思っていると、深夜にパリ行きの列車が残っていた。ありがたい。結局スイスは1日かけて通り過ぎたことになる。でも通り抜けて良かった、と思う。スイスの風景は本当に素晴らしかった(ちょっと住みたいと思った)。ただ結果的に列車代は少し高くついたようだ(ミラノ~ベルン~パリで大体100ユーロ強)。
 パリに着いたのは早朝で、目覚めて驚いたことには、しとしと雨が降り続いている。こんなふうに、だらだらと日がな一日降り続きそうな雨を見るのは日本以来だ。今までの国ではなんだかんだ言ってもダーっと降ってハイ終了、という感じだったから。
 スイスは抜けたのに、雨のせいだろうか──相変わらず寒い。この先はウインドブレーカーが手放せなくなりそうだ。
 パリ市内をぶらぶらと歩き、ともかくもまず目に飛び込んできて思わず向かったエッフェル塔で、はっとした出来事があった。エッフェル塔最上層、地上276mの展望台からはパリ中が見渡せる素晴らしい眺めだ。曇り空の下、まだらに現れたり消えたりする日差しの飛び島を眺めつつ、ふと窓の上を見上げると、各国の国旗がそれぞれの方角の位置に表されているのに気づいた。日本はどっちだ、やっぱ東かな?と探してみると、どちらかというと北寄りの位置に日の丸を見つけることが出来た。そうか、直線で結ぶと北のほうにあることになるのか。そしてその国旗の横にはこう表示されていた。「TOKYO 9739km」。
 ここから日本までは約1万キロの距離があるんだ。ずいぶん遠くへ来た、とは思っていたけど、具体的な数字を示されたのは初めてだった。1万キロ。ここから日本までの間には、1万キロの道のりが横たわっている…
 去年の今頃、よく西の空を眺めては、一番遠くに見える雲のその向こう側に行くのだ、と想像していた。今僕はあの雲よりもずっとずっと向こう側に立って日本の方角を眺めている。