–エジプト、カイロ
午後5時すぎ。いつものように、いつもの抑揚で、アザーンが街中に鳴り響く。僕は宿のテラスでそれをぼんやりと聞いていた。ふと下を見ると、どうやらこのビルの1階はモスクになっているらしく、続々とイスラム教徒が集まってくるではないか。
(1)ハイ並んでー
(2)ハイおじぎ
(3)そして土下座ー アッラーフアクバル!(神は偉大なり)
※以降(2)~(3)を繰り返し
茶化してゴメン。
–エジプト、バハレイヤ
黒砂漠を抜けると、次第に緑が現れ始めた。この辺りには鉱泉の湧く村があるのだ。泉と言っても、黄色い砂丘の中、椰子の木に囲まれた湖のようなフォトジェニックな感じではなく、石造りのプールのようだ。ポンプでくみ上げられた水は白濁していて、冷たい。村の住民たちはみんな気持ちよさそうに遊んでいる。気が付くと僕らのジープのドライバー、マンドゥイもいつの間にやら服を脱いで浸かっている。「どうした。入らないのか?」そりゃ入るとも。トランクス一丁で飛び込む。クソ暑い砂漠の真中、とても気持がいい。
いつの間にかパイプからの水は止まっていて、水もなんだか濁ってきたな…と思っていると、ポンプのエンジンが始動する音がして、パイプを水が伝わってくる音が響き始めた。高まる期待感。そして一気に冷水が噴き出すと、再び子供たちがそれぞれに叫びながら飛び込み始めた。
–エジプト、カイロ
ピラミッドとは5年振りの再会になる。
相変わらず馬鹿でかく、悠然と僕を迎えてくれる。今回僕には一つの使命がある。「ピラミッドの中に入る」…以前来た時、ツアーの都合でピラミッドの中には入れなかったことを思い出す。そう、これは5年越しの悲願なのだ。
中はすえた臭いがして、しばらく歩くとすぐに上り坂が始まる。大回廊だ。まあ、なんの洒落っ気もない無骨な通路なのだけど大感激する僕。こっこれが大回廊!無駄に上昇するボルテージ。そして棺の間はさらに素っ気ない。そもそも棺ではない、という説すらある花崗岩の中空のハコだけど、眺めながらなんとなく、やっぱりこれは棺だったんじゃないかな…と思った。根拠は無い。
一緒に行った韓国人のヨンヒは「これで100ポンドは高すぎ!」と言って怒っていたけど、僕は大満足だった。あー、なんつーか、ノドにささった魚の骨が取れた気分!
写真はエジプトに来たら日に焼けて太った僕。嘘です。
–エジプト、ダハブ
ダイビング講習も終わり、晴れてアドバンスダイバーとなった夜、インストラクターのたこさんの家で祝賀会。食べる飲む騒ぐ。ふと思うとこういうのはすごく久しぶりな気がする。中東ではおおっぴらに酒が飲めなかったこともあるし、それ以前から考えても数ヶ月ぶりだ。
次の日からはそれまでの規則正しい生活とは打って変わって何もなくなった。ダラダラするのみ。
そのギャップは、なんとなく僕の頭を「次の目的地」へと向かわせてしまったようだ。皆はまだまだ滞在するという。でも良く考えたら僕にはあと2ヶ月。いつの間にか残り時間は「~もある」から「~しかない」に変わってしまっていた。そして、この先はまだまだ長いのだ…
僕は翌日、カイロに向かって出発することにした。
ゆるい空気、猫と海の町、ダハブ。講習卒業記念にもらった左腕のミサンガが切れる頃、また戻ってこよう。
出来るならば。
–エジプト、ダハブ
旅行に出てから4ヶ月にして、初めてリゾート地へ。これまでいくつもの国を通り、多くの宿の情報ノートに「ダハブへ行くべし!」と書いてあったその意味が分かったような気がする。
エジプトのシナイ半島東側、アカバ湾に面する町ダハブ。海は青く澄み、少し泳ぐだけで美しい熱帯魚や珊瑚を見る事が出来る。海の向こうにはサウジアラビアが見える。
昼前に起きて海岸のカフェでだらだら本読んだり、バックギャモンしたり、気が向いたら泳いだり。夕暮れに赤く染まるサウジアラビアを眺めつつビールを飲む。これだ!これこそ僕の待ち望んでいた夏だ!
ダハブはもう一つのリゾート地、シャルム・エル・シェイクに比べると安上がりだけど、多くのダイビングポイントをもっている。ダイビングライセンスを取ろうとかいう気は全然なかったんだけど(Tomo・Ticca夫妻に会うまでは)、せっかくの紅海。せっかくのダハブ。という訳で講習開始!