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ブーメラン

–ベルギー、アントワープ

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アントワープにあるブーメランという宿は、ベルギー人のお兄さんと日本人のお姉さんのカップル経営のユースホステル。料金も安く、日本人旅行者には結構有名な宿のようだ。久しぶりに何人かの日本人パッカーに出会えて、最近情報ノートにもお目にかからないし、ガイドブックなしの僕にとっては貴重な情報を多く得ることができた。
街をうろついて宿に戻り、リビングを覗くとたいてい座っているのは、ここに来て予期せず沈没に陥ってしまったというダイチ君だ。中央アジアを通って北欧を抜けて来たとのことで、北欧情報をいろいろ教えてもらう。
「北欧の人はすごく優しいよ!」
彼は北欧での移動は全てヒッチハイク、夜はテントと寝袋で過ごしてきたらしい。それが5月頃だというから驚く。まだまだ寒かっただろうに!まあそれくらい倹約する必要があるほど、物価が高いということは窺い知れた。これは僕もせめて寝袋くらいは買わなければまずいかもしれない。
自転車でアルプス越えをしてきたという強者コンビ、セージ君とハナちゃんの話も面白く、丁度ハナちゃんの誕生日ということでお祝い。久しぶりに日本のカレーを食べた。う…旨すぎる…!!日本のカレー最高。
こんな賑やかでアットホームな宿はこの先無さそうだな…。
後ろ髪惹かれつつオランダへと向かう。

BOOMERANG Y.H
Lange Leemstraat 95, 2018, Antwerpen, Belgium
TEL: +323/238 47 82
Dorm:12euro
Private:30euro
(Breakfast +2.5euro)

アントワープにて

–ベルギー、アントワープ

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 アントワープは近年ファッションの先端を走っていて、王立芸術学院という学校から優れたデザイナーが数多く輩出されており、中でも「アントワープ・シックス」と呼ばれる別格なデザイナーたちが存在する。…なんだか戦隊ものヒーローみたいな響きだ。悪の組織と戦ってるのかな。
 聖母大聖堂へ、ルーベンスの「キリスト昇架/降架」を見に。「パトラッシュ僕もう疲れたよ…」はここか。しかしさすがに横になれるような雰囲気じゃないな。
 フランダースの犬ははっきり言って日本人だけに有名だということだが、それを裏付けるようにここ聖母大聖堂にもしっかり日本語の解説冊子が置いてあった。日本のアニメで取り上げられるまであまり知られていなかったらしいけど、今ではトラムで30分ほどの町ホーボーケンにネロとパトラッシュの銅像が建っている…さて見に行ってみると誰も注意を払っていないような所に小さな像がぽつんと立っているだけ。まあ、こんなものなんだろうか?
 まあそれはそれとして、アントワープの街は骨董品の店やいい感じのカフェがちょっと歩くだけでもいくつも見つかるし、それ以前に街の持つ空気がなんだか良い感じにゆるい。気づくと予定より泊数を増やしてしまっていた。

黒づくめの人々

–ベルギー、アントワープ

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 ブリュッセルの次は、オランダのデンハーグに移動しようと思っていた。地図上ではとても小さいベルギーを抜けてすぐ近くだ。しかし地図を眺めながらその手前の地名が目に入る。アントワープ。なにか聞き覚えがある響きの地名だ…
 調べてみるとアントワープは、かの「フランダースの犬」の舞台であるらしい。だから聞いたことがある気がしたのか。ということはあの最終回の、ルーベンスの絵がある教会があるということか。それはちょっと見てみたい!
 ブリュッセルからアントワープまで、列車に乗って約40分ほどで到着。
 少し日本語を話せるツーリストインフォのおじさんに「ブーメラン」という宿を紹介してもらい歩き出すと、道行く人々がなんだか見慣れない服装だ。ぞろ長い黒外套に黒スーツ、黒い靴。帽子もやはり黒いシルクハット。長く伸ばしたモミアゲをカールしている。アントワープの人は変わった格好をするんだなー…いや、この風貌はたしかユダヤ教徒のものじゃないか。とすると、どうやらここはユダヤ人街のようだ。
 イスラエルには行っていないのでユダヤ教徒を目にするのは初めてだ。黒ずくめの服が好きな僕はそのセンスは嫌いじゃなかったけど、あのモミアゲだけは理解不能だ。

マグリット博物館

–ベルギー、ブリュッセル

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 マグリット博物館は、ルネ・マグリットが暮らしていた家──普通の住宅街の普通の家で、看板が出ていなければきっと分からない。(実は休館日である前日にも来て、この通りを2往復して結局見つけられなかった。)
 マグリットの絵は、その多くを身近なものをモデルにして描いていたらしく、表の町並みや街灯、暖炉や窓枠、階段、果ては庭にある鳥かごまでが、作品の中のものと同じであるのはとても面白い。
 おみやげに買った、青空が帽子とマントをかぶっているような絵(分かりづらいな)のポストカードを眺めながらワッフルを食べる。
 ベルギーもやはりずいぶんと寒い。

1万キロのすれ違い

–ベルギー、ブリュッセル

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 ベルギーは…首都ブリュッセルは、EUの本部があるところだ。と、その程度しか知らなかったりする。
 いや、もうひとつだけ。マグリットの生まれた国だ。美術のことは正直よく知らない僕にも好きな画家が数人いる。M.C.エッシャーとルネ・マグリットだ。どちらもなんだか「人を食ったような絵を描いている」というイメージだ。そのマグリットの絵がここベルギーの王立美術館にあるらしい。それは見に行かなければと大雨の中、王立美術館へ。
 …と、アレ、無い。
 マグリットの絵なんか全然無い!なんで!?いや待て、待てよ。あった。2点だけあった。しかしたった2点だけなんて!おや、もう一点あるぞ。これは知っている、有名な「光の帝国」という絵だ。しかし正確には「あった。」そこには小さなプレートと以下の説明が。「日本での展示のために現在貸出中です」
 え─────!
 ここまで来たのに、絵は日本かよ。
 そもそもこれを含めても3点しかないというのが解せない。本当なら50点以上はある筈なのに!全部日本に行ってしまっているのか?それとも来年地下1階にオープンするという「マグリット館」の準備かなんかでどこかに移動されているのだろうか?
 どちらにしても、この強烈な肩透かしに一気に力が抜けてしまった。ブリュッセルにも嫌われるのか…
 いや、と思い直す。たしか郊外に、本人の家をそのまま利用した「マグリット博物館」があるはずだ。そっちに行ってみよう。
 写真は世界三大がっかりとして有名な小便小僧。うん、小さかった。