これはお前のライフラインだ!

これはお前のライフラインだ!

–インド、レー

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 レーの病院は、デリーで同行者が食中りになったときに行った病院とはぜんぜん違って綺麗だった。すべての判断を放棄しているうちに入院した僕は、キンキンしたしゃべり方の看護師のおばさんに鼻の穴に酸素チューブを突っ込まれてベッドに寝かされた。しかしチューブのせいか鼻水がだらだら出て不快な上にしばらくすると勝手に外れてしまう。その都度目覚めて何度もセットしなおさざるを得ない。僕はそのうち位置を直すことをあきらめた。するとそれを見たドクターが、

 「これはお前のライフラインだ!絶対はずすな!!」

 といっても何もしなくても勝手に外れるし…。
 病気のせいだとは思うが、かなり殺伐とした精神状態で一晩を過ごし、その間中考えたことは「一刻も早く病院を出たいなあ」だった。よく考えると僕はまだレーの町を一目も見ていない。

 翌日、昼前になってようやく現れたドクターが「もう大丈夫か?」僕「もう大丈夫」それで退院となった。簡単すぎる、と思ったけど文句をいうこともないので沈黙。おばさんに診察代や薬代が気になったので尋ねてみると、ここは政府の病院だからお金はいらないのよ、と教えてくれた。